作り手の想いTHOUGHTS OF THE CREATOR

社史がそのままTokyo Towel Story。
吸水性と美しさを兼ね備えた1秒タオル

ホットマン株式会社

「hotman」商品画像

ホットマン株式会社は、東京・青梅で50年以上にわたり日本製タオルの製造を続けている会社です。ホットマン製タオルの品質の高さを示す「1秒タオル」という言葉を世に送り出しました。代表の坂本氏に、会社の歴史と東京でのものづくりについてお聞きしました。

- 創業時は絹織物製造業だったそうですね。

明治元年(1868年)、絹織物製造業として東京・青梅に田中織物工場として創業しました。「青梅縞」は江戸の粋として人気を博した着物生地で、東京ブランド発信事業との共同企画商品としてタオルに模様を復刻したこともあります。

昭和30年代に青梅の織物産業を支えたのは夜具地(やぐじ)と呼ばれるふとん側地で、全国の生産の65〜70%を青梅産が占めていました。戦後は服地織物へ一本化し、ブランド服地などを幅広く手がけました。

タオルの生産をスタートしたのは1963年。生活様式の洋風化に伴い、夜具地に代わる新たなものづくりを考えなければならなくなり、タオルに注目したのです。まだてぬぐいが主流でタオルは一家に1枚あるかないかという時代でしたが、国から青梅に割り振られたタオル織機120台のうち30台を自社に確保し、生産を本格的に開始。他社も次々に参加して、青梅のタオル業は福岡・愛媛・大阪・三重とともに5大産地と呼ばれるまでに成長しました。

東京・六本木に直営1号店を開いたのは1972年のこと。当時は量り売りで、重いほうが高い値段がつく時代。私たちは服地を作った経験があるので、良い綿を使えば軽くて高品質のタオルができることを知っていましたが、軽いタオルはなかなか問屋さんに評価していただけない。そこで、直営店で勝負しようと決めたのです。

これにより生産から販売まで自社で行う製販一貫という新しい仕組みが誕生しました。初の自社製品である『ホットマンダンディストライプ』を発表し、服地用のコーマ糸で作ったシャーリングタオルを24色のカラー展開で販売するなど、ホットマンの名が広く知られるようになった年でした。 ちなみに、Hotmanという社名は、タオルの持つぬくもり、つくり手としての熱い気持ち、そしてお客様を想う温かい心を表しています。

2013年には「1秒タオル」を発表、ホットマンといえば1秒タオルと言われるようになりました。タオル製造を始めてはや50年、デザインのコンセプトはずっと変わりません。上質な暮らしを叶えるシンプルなデザインを基調とし、室内で季節を感じることができるよう、華やかなシーズンデザインも取り入れています。

創業から150年間、織物の里・青梅からタオル文化を発信し続けてきた当社の歴史は、まさにTokyo Towel Storyといえるでしょう。

- 「1秒タオル」とはどのようなタオルなのですか?

革の画像

「1秒タオル」は、ホットマン独自の規定をクリアした吸水性の高いタオルの総称です(商標登録済)。1秒というのは、「沈降法(JIS規格)」という吸水性試験で1cm角のタオルを水に浮かべたときに1秒以内に沈みはじめるから。ちなみに、日本のタオルの一般的な基準は60秒以内です。「1秒タオル」は1回押しあてるだけで水分を瞬時に吸収するので、肌や髪をゴシゴシこすらずにすみ、ヘアドライの時間を大幅に短縮できます。

『ホットマンカラー』をはじめとする当社のタオルのほとんどが、実ははじめから「1秒タオル」。高品質をわかりやすく表現するために1秒タオルという名前を付け直しただけで特に新しい商品を開発したわけではありません。

1秒タオルにできる秘密は、徹底した洗浄工程にあります。原料の綿にはワックスのような油分が表面についているため、そのままでは吸水しません。また、織りやすくするために糸に糊をつけて固めるので、これも落とさないと吸水性が落ちてしまいます。さらに、肌触りをよくするための柔軟コーティングも当社では行いません。原料の不純物を徹底的に洗浄し、余分なものを付け加えないことで、肌にやさしく吸水性の高いタオルが作れるのです。

- すべての商品を青梅で作っているのですか?

柳本氏画像

企画・デザイン・糸染め・織布・布染め・プリント・縫製・刺繍まですべて自社で行っており、織りと縫いの工程は青梅市の工場が、洗いの工程は良質な地下水が豊富な川越市の工場で行っています。加えて、販売まで自社店舗で行うという製販一貫という独自の仕組みを構築しているのは当社だけです。

このようなシステムを取っているのは、「高い品質を追求しながら、すべての工程に関わり責任を持つ」、「自らの手で、お客様に商品と共に安心と信頼をお届けする」という想いがあるからです。原料の仕入れも社内で管理しているので、2014年には日本ではじめて日本製フェアトレードコットンタオルの認証を受けることができました。

- 今後の展望などあれば教えてください。

ホットマンのものづくりを国内外の一人でも多くの方に知っていただきたいと思っています。毎日使うタオルを上質なものに変えるだけで生活が豊かになります。「お客様の快適で心豊かな生活に貢献する」が当社の理念ですが、快適さも豊かさも時代とともに変わるもの。時代や人々の変化にしなやかに対応しながら、高品質なタオルをこれからも作り続けていきたいと思います。

伝統産業を伝承する役目も果たしていきたいですね。昭和20年代〜30年代前半には、青梅だけでタオル工場を含めて700の織物工場がありましたが、今では当社だけになってしまいました。全国的に見ても日本で流通しているタオルの80%が輸入品で国産は非常に少なくなってしまいましたし、青梅の地場産業である繊維産業を次世代にしっかり伝えていきたいと思っています。

「1秒タオルの次は何を作るんですか?」とよく聞かれるのですが、1秒タオルは私たちのものづくりのベースですからこれが変わることはなく、1秒タオルに新しいデザインや技術を掛け合わせていくことになるでしょう。2015年に発売した、色落ちしにくいスレン染料で染めた「永遠色(トワイロ)」シリーズのように、1秒タオルの魅力をより増すようなアイテムを発信していく予定です。

- 東京でものづくりをすることの楽しさやよい所を教えてください。

東京は、良いものづくりを追求するのにふさわしい場所だと思います。先端技術の街というイメージがあるかもしれませんが実は中小工場が非常に多く、ものづくりの文化が根付いています。最新の知見や情報が集まる大都市で、さまざまな感性を磨くことができる。一方で、伝統文化も色濃く残っていて奥が深い。それが東京の魅力ではないでしょうか。

私は、店舗や工場はお客様と商品のやりとりをするというだけでなく、お客様に思いを伝えて一緒にブランドを作り上げていくコミュニケーションの場だと考えていますが、もしバイヤーさんが当社のものづくりに興味を持って現場を見てみたいとなったときでも、工場が東京にあればいつでも気軽に来ていただけます。こうしたアクセスの良さも東京でものづくりをする利点だと思います。

製品詳細

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ホットマン株式会社 開発事業者

https://hotman.co.jp/
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